マザーレイクフォーラム(2)びわ湖の現状〜釣り人による清掃活動

前回に続いて2017年8月26日(土)に大津市のコラボしが21で開催された第7回マザーレイクフォーラムびわコミ会議の模様をご紹介します。

お断り:かなりの長文です。ボケるところもありません。でも、びわ湖の現状を知る良い機会ですので、お読みいただければ幸いです。

当日配布資料と概要報告については、びわコミ会議のWebサイトに掲載されると思いますので、詳細はそちらをご確認ください。

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「マザーレイク♪マザーレイク♪」のBGMとともに登場したナビゲーターの勇さんこと川本勇さん 、そして滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの佐藤さんとの息のあった掛け合いから、びわコミ会議は始まりました。

 

 

●マザーレイクフォーラム運営委員会委員長松沢さんからのご挨拶

 

– このびわコミ会議は、マザーレイク計画21の進行管理を行い、多くの団体とのつながりを築き、またそれぞれの活動を発表する場でもある。今回は、ベトナムからも参加していただいた。

– 第7回のテーマは「びわ湖を活かし びわ湖と生きる」。びわ湖をともに支えることの重要性について考える。

– びわ湖の価値を多くの人に知ってもらいたい。

– 琵琶湖周航の歌が誕生して百年。

– 今年は各地で多くの自然災害が起こっている。びわ湖は災害が少ないとはいえ決して例外ではない。

 

●滋賀県副知事西嶋さんからのご挨拶

– 1977年5月に赤潮の大発生があった。ちょうどその頃県庁に入って大変なショックを受けた。そのような課題を乗り越えてきたが、まだまだ多くの課題がある。

– 今年は未曾有の事態が起こり、鮎が不漁で、例年8tのところ、10t追加して18t緊急放流した。

– 外来植生物しかり、水草しかり、次々と問題が起こるけれども、そのびわ湖の問題をしっかりと踏まえつつ、同時にしっかりとびわ湖を活かし、次世代につないでいこうと、三日月知事はこれを「琵琶湖新時代」と名付けて積極的に進めようとしている。

– 琵琶湖周航の歌百周年を迎え、嘉田前知事をはじめ、いま非常に盛り上がっている。

– 「琵琶湖新時代」として、滋賀県は都道府県として初めてSDGs(エス・ディー・ジーズ:持続的な開発目標)を決めた。

滋賀県のSDGsに関連したびわ湖大津経済新聞の記事がありました)

 

●びわ湖への約束

びわコミ会議での特徴として、毎回参加者一人一人がこれから先1年間、びわ湖のために何をするか、「びわ湖への約束」(コミットメント)を書きます。

この会議のコメンテーターを務める三名の方が、昨年のコミットメントの達成状況を発表されました。

特定非営利活動法人「碧いびわ湖代表理事の村上さん:「使う人も作る人も、ともにびわ湖を思う素敵な石鹸を世に出す」。BIWACCAというブランドを立ち上げ、石鹸の試作まで進んでいるそうです。
いま寄付を募っています。ぜひご協力ください。→ https://www.facebook.com/biwacca/posts/367062933733282

 

・滋賀県立大学井手先生:「湖畔をもっと歩いてみる、今年こそ」。昨年は達成できなかったけれど、今年はよく湖畔を歩くことができました。

 

・滋賀県西嶋副知事:「湖との距離を近づける」
そのためには、食べること。鮒寿司を漬けたので、お正月に食べるのを楽しみにしています。

 

続いて会場にいる全員にアンケート。昨年のコミットメントを達成できたかどうか、手元の番号札で回答します。すぐにその場でカウントされ、目の前のスライドに反映されました。

約束を果たした…22%(27人)

果たせなかった…5%(6人)

昨年不参加…73%(88人)

私たちと同様に初参加、または昨年不参加の方が多いようでした。

達成できた方は、友達と一緒に観光してびわ湖の魅力を伝えたり、「びわ湖をもう少し好きになる」という約束どおり、びわ湖に出かけたりしたそうです。

今後自分は、びわ湖のために何ができるのか。

具体的な目標を宣言することで、日々の行動も変わってくるのではないでしょうか。  

 

 第一部(午前)みんなつながる報告会

 

司会のお2人によると、この1年のびわ湖関連のニュースとして

・蓮(ハス)が激減

・アオコがすごく増えて水道が臭くなった

・鮎が非常に不漁

・Fish1グランプリで県漁連青年会のビワマス親子丼がグランプリ受賞

・ビワイチが注目を集めニュースでも取り上げられたりした

といったことがありました。

 

●「びわ湖なう! ~この1年間のびわ湖のトレンドを徹底解説~」

滋賀県琵琶湖環境部次長の石河さんが、この1年間のびわ湖の状況として、3つのトピックを解説してくださいました。

1)びわこ虫の大量発生について

 

– 今年の春、びわこ虫が大量に発生。びわこ虫とは、オオユスリカやアカムシユスリカの成虫のこと。今年大量発生したのはオオユスリカ。

– 迷惑な虫のイメージがあるが、湖底の有機物を食べてくれて水質が良くなるという良い面もある。

– 大量発生には水草と植物プランクトンが影響している。水草やプランクトンは年によって増減するが、一昨年は水草が大量に繁茂し、去年は比較的に少なかった。すると逆にプランクトンが多くなり、ユスリカの幼虫が多く生き残った。

 

2)侵略的外来水生植物のオオバナミズキンバイについて

– 平成21年に赤野井湾で発見されて以来、増殖している外来生物。

– 増殖力が非常に強く、なかなか駆除しきれない。定期的な巡回、監視が重要。

– 瀬田川洗堰、鴨川など下流域にまで広がっていることが懸念されている。早期対応が非常に重要。

 

3)鮎の漁獲不振について

– 今年は鮎が漁期の初期から深刻な不漁で、4月下旬からやや回復したものの漁獲高の総量で見ても例年の6割止まり、サイズも小さい。

– びわ湖を周回するコースや横断するコースなど魚探で調べても平年より魚群数が少ない。

– 県では、例年8t放流しているところ、2倍以上の18t放流した(2013年の23tに次ぐ量)。

– 国立環境研究所の琵琶湖分室も去年できたので、そちらの協力も得ながら、現在原因究明中。

 

●『琵琶湖と暮らし2017』~指標で見る過去と現在~について

この指標の詳細はこちらをご覧ください。

以下、資料より抜粋します。

『琵琶湖は単に水をたたえる「水瓶」としてそこにあるのではなく、数多くの生きものが生息し、ま た私たちも日々その恩恵を受けて生活をしています。琵琶湖の水、生きもの、私たちの暮らしは密接につながり、影響し合いながら存在しており、どれか一つの側面だけをもって琵琶湖の状態を評価することはできません。しかしこれまで、琵琶湖の水質はどうか、魚はどうか、森林はどうかといった ように、個別に評価されることが普通で、全体を見て一体どこに根本的な問題があるのか、どこから手を付ければよいのかなどを話し合う機会やそのための資料はほとんどありませんでした。

平成 23 年度(2011 年度)に策定された「マザーレイク 21 計画(第 2 期改定版)」では、2020 の計画目標として「琵琶湖流域生態系の保全・再生」と「暮らしと湖の関わりの再生」を掲げています。計画の進行管理を行うための指標として、施策の進捗状況を表す指標(アウトプット指標)、および環境や社会の状態を表す指標(アウトカム指標)を設定し、これにより目標の達成の度合いを管理 していくこととしています。』

 

128の指標を通じて、私たちを取り巻く環境がどういう状況にあるのか、これまでどのような経緯をたどってきたのかがわかるようになっています。北湖と南湖でまったく違う、という場合はそれぞれ分けられています。

– 全体の傾向としては、琵琶湖や河川の水質状況は改善傾向が見られ状態は悪くはないものの、在来魚介類の漁獲量および希少野生生物の減少、水草の繁茂など悪化傾向も見られる。また、暮らしがよくなる一方で、一次産業従事者が減少している。

-富栄養化の時代ではチッソやリンを減らせば良くなると考えられ改善されたが、在来の生き物は戻ってくるどころか減っている。研究を進めているが原因がわからない。外来魚の増加や生息環境の悪化という直接的な影響だけでなく、水質そのものが食物連鎖を通じて生き物に影響を与えているという可能性も考えられている。

– 赤潮は減少してきているものの、植物プランクトンの種類は大きく変化してきており、漁網に異常な汚れが付着したり、湖底の泥質化などのデータも出てきている。

– 琵琶湖の生態系のバランスが崩れてきている。

– 生き物が住みやすく、人と魚が共存できる琵琶湖を目指して取り組みを進めている。

マザーレイクフォーラム運営委員会委員長の松沢さんも、

「55年漁師をやってきて、これまで経験がないことが起こっている。この広いびわ湖に、まったく魚がいない。4月の時点で鮎の漁獲はゼロ。鮎は一年魚なので毎年親魚を放流して、ある程度人工的に操作できるが、それでも獲れない。ハスもホンモロコも含め、在来魚の数がここ数年は右肩下がり、急降下していた。かつては網にお金にならない雑魚がかかって困っていたが、今ではその雑魚を探している時代になってきた。ガックリして病気になりそう。」

と、悲痛な思いを訴えられました。

 

この春は、何かお役に立てないかと、釣り人からの鮎の目撃情報をウォーターステーション琵琶の職員さん経由で滋賀県水産課の方に送っていただきました。湖上でなにか気づいたことがあれば、ぜひ情報をお寄せください >> 釣り人の皆様

 

・滋賀県立大学井手先生による解説

  「琵琶湖と暮らし2017 」28、29ページに、鮎の不漁について現時点での分析結果を掲載。

  結論を言うと、原因については、正直わからない。

  40年前の赤潮の話も出ましたが、かつては黒い工場排水や泡まみれの家庭排水が流れ込んでいて、そういった汚れた水さえ減らせば琵琶湖はきっときれいになるんだと、わかりやすかったが、結果として見たときに、それと同時進行的に進んでいたいろんな琵琶湖周りの行為によって、ある意味痛めつけられてきた琵琶湖の生態系のツケがいま現れてきているのではないか。

 

・滋賀県琵琶湖環境科学研究センター佐藤さんによる解説(抜粋)

– わからないとはいえ、どこまでわかっているのかを簡単にご説明すると、夏の間に雨が少なく高温が続き、川に水が少なく鮎が上れないと言う状況の中、9月末に台風による増水をきっかけに鮎の産卵時期が集中し、例年より産卵時期が遅れ、氷魚をとる時期にはまだ成長が十分ではなかったのではないか。

– それと関連するのかどうかわからないけれども、11月~1月くらいにかけてミクラステリアスというオーストラリア原産の非常に大きなプランクトンが大発生。これが非常に大きく、動物プランクトンなどは食べることはできない。その影響で動物プランクトンが食べやすいプランクトンが減ったかもしれない。その影響で動物プランクトンが減って鮎も減ったのではないか、という仮説がある。

– 動物プランクトンも全部が減ったわけではないし、鮎がそんなに選択的にとっているのかという疑問もあるし、過去にも鮎の産卵が遅れたことがあるがそんなことは起こらなかったし、これだけでもないしあれだけでもないと、どれが原因とは断定できない。

 

さらに、参加者の方が感じるびわ湖の変化についても共有しましょうということで、オオバナミズキンバイの駆除に取り組んでいる国際ボランティア学生協会IVUSAの学生さんからは、
「昨年しっかり茎を取ったはずのところでも今年また繁殖している。学生だけではなかなか対処しきれない部分もあるので、地元での体制づくりが必要ではないか」
という提言がありました。

 

また、70代の男性からは

「小学校の頃は浜辺に行ってヨシが繁っているところに4月5月にホンモロコが押し寄せてきて、タモですくってその日のおかずにできた。あの美味しいホンモロコが減ったのはなぜでしょうか。やはりヨシが護岸工事によりなくなって、産卵に押し寄せる場所がなくなって外来魚に食われてしまうのではないか。私はみなさんと一緒にぜひヨシを植えていきたい。」

というお話があり、滋賀県立大学の井手先生が

「ホンモロコの漁獲高が減った一番の原因は、やはり産卵の場所が減ってきたということです。県としてもヨシを造成していますので、一時期よりも増えてはきています。もう一つ疑われているのは、瀬田川の水位操作の問題でして、92年から琵琶湖本来の自然の水位変動とは真逆の水位操作を行っていて、普通は夏水位が高く、冬水位が低いんですけれど、それと真逆の夏低く、冬高くしている、特に春先から夏にかけて人為的に水位を下げていることで、卵が水面上に出て干からびてしまう、という理由があります。」

と解説されました。

漁獲高のグラフを見ると、確かに90年代半ばから突然、ホンモロコの漁獲高が激減しています。

 

この短時間の発表の中でも、気候の変化、外来生物、水草やプランクトン、水質、護岸工事など、幅広い観点で研究が進められていることがわかります。

 

次の団体活動報告に移る前に、再び滋賀県琵琶湖環境部次長の石河さんより、「琵琶湖保全再生計画」についてご紹介がありました。

– 平成27年9月28日「琵琶湖の保全及び再生に関する法律」が制定され(琵琶湖の法律の制定は悲願だったそうです)、去年7月に国の基本方針が決まり、その方針を受けて、県でも1年かけて議論や意見交換を重ね、3月末に計画を策定。

びわ湖保全再生課のページ から、「琵琶湖の保全及び再生に関する法律」についてさまざまな資料を参照できます。

概要の資料はこちらです。ぜひお読みください。 

5ページに「びわ湖と人との共生」とありますが、

「びわ湖を守る」と同時に「びわ湖を活かす」というキーワードが、お話の中でたびたび出てきました。

今年は17年ぶりに日本で、世界湖沼会議が開催されるので、このようないろいろな機会に、日本だけでなく世界にも、びわ湖の取り組みを発信していきたいとのことです。

 

そして、いよいよ、「びわ湖を活かす」にちなんだ団体活動報告。
トップバッターは、私たち。「釣り人による清掃活動」です。

隣で大きく深呼吸している代表の津熊さんに「過呼吸になるで」と突っ込む間もなく、Zさんと3人で前へ。

びわ湖の保全、再生、活用について語らうこの場で。釣り人である私たちは、一体どのように受け止められるのでしょうか。

 

つづく。

第7回マザーレイクフォーラム(1)参加にあたって〜釣り人による清掃活動

2017年8月26日(土)。
釣り人による清掃活動(団体名:淡海を守る釣り人の会)として、滋賀県のマザーレイクフォーラム「びわコミ会議」に参加し、午前の部の各団体による活動報告で清掃活動について発表する機会をいただきました。

 

 

マザーレイクフォーラム「びわコミ会議」とは…(公式HP http://mlf.shiga.jp/biwacomi より引用)

琵琶湖流域に関わる様々な主体が、お互いの立場や経験、意見の違いを尊重しつつ、思いや課題を共有し、琵琶湖の将来のために話し合うとともに、マザーレイク21計画の進行管理の一部を担い、評価・提言を行う場です。

びわコミの「びわ」は琵琶湖を指し、「コミ」は英語のコミュニティ(地域)、コミュニケーション(対話)、コミットメント(約束)の頭文字を指しています。

びわコミ会議は、運営委員会で設定されたテーマに基づき1年に1回開催しています。

びわコミ会議では、結論や合意を得ることに必ずしも固執せず、参加者の思いや課題を互いに共有することに主眼を置いており、お互いの考えの共通点や相違点を見出して、各自ができることを考える場となることを目指しています。」

 

なぜこのような大きな場で発表できたのか。それは、今年2月に「淡海の川づくりフォーラム」に参加し、マザーレイクフォーラム賞をいただいたことがきっかけです(そのときの模様はこちら)。

せっかくのこの機会に、5分間で、なにをお伝えすればよいのか。なにができるのか。

打ち合わせにあたって、コンセプト動画的なスライドを作成しました。その内容がこちらです(当日発表したものは時間の都合により構成を変更した短縮版です)。

 

ここで誤解してほしくないのは、私たちは清掃活動の見返りを要求するために活動しているわけではない、ということです。

清掃活動はあくまで、地域の方とつながるきっかけ作りに過ぎません。

滋賀県の外からやってくる釣り人が、ただ琵琶湖で釣りをして帰っても、その地域の方と知り合い、コミュニケーションをとれる機会はなかなかありません。

ある日突然、浜大津にゴジラが出現して、爆弾を積んだバスボートで一斉攻撃するよう要請を請けるなんてことは、現実には起こりえないし。

8月のある朝目覚めたら、自分の体が滋賀県の研究者さんの体と入れ替わっていて、協力して琵琶湖の秘密を解明するなんていう前前前世な展開も残念ながら、期待できそうにありません。

私たちの場合は幸運にも、清掃活動主催者の津熊さんが国土交通省ウォーターステーション琵琶の流域連携支援室にコンタクトをとったことがきっかけで、さまざまな団体の方をご紹介いただき、清掃活動にもご協力いただくことができました。

 

実際、今回のマザーレイクフォーラムでも、こんな出会いがありました。
午後の部のテーブル別ディスカッションで私たちのテーブルのテーマは(琵琶湖を)『つり「人」で活かす』だったのですが、このテーブルに参加してくださった地元の女性は、釣り人が残していくゴミに悩まされていて、でも釣り人に直接注意するなんて怖くてできなくて、

「私自身の憂いとまさに一致する発表内容だったから、このテーブルに参加しました」

と、おっしゃっていました。

顔を合わせて言葉を交わすことで、お互いの思いを語り、お互いの立場を理解して、ただ批判するだけでは生まれないプラスを生み出すことができるかもしれません。

今回のマザーレイクフォーラムでも、釣り人として温かく迎えていただいただけでなく、素晴らしい出会いや交流の機会があり、貴重な経験ができました。

その内容を、次回はレポートします。つづく。